オフィス拡張移転の意欲は改善基調続
―三幸とニッセイ、22年下期はDI60%台
三幸エステートとニッセイ基礎研究所は、「成約事例で見る 東京都心部のオフィス市場動向22年下期」をこのほどまとめた。企業のオフィスを拡張する意欲を測る「オフィス拡張移転DI」は、22年下期は60%台半ばに改善した。オフィスのリーシング活動の正常化が進む中で、23年に都心部で新築ビルの供給が増える点に触れ、「Aクラスビルでは賃料負担力の高い大手企業や外資系企業を中心にオフィス拡張意欲がやや低下している」と危惧を示した。
22年は、オフィス拡張移転DIは第3四半期65%、第4四半期64%と堅調な改善基調だった。但し、コロナ禍前の水準には及ばず、第4四半期はほぼ横ばいで改善ペースの鈍化がみられる。業種ごとに回復に違いが目立ち、「学術研究・専門/技術サービス業」が81%、「その他サービス業」で77%、「不動産業・物品賃貸業」の77%は、コロナ禍前の水準を取り戻した。一方、「製造業」は55%、「卸売業・小売業」で57%と回復が鈍く、就業者数の減少が影響したとみている。コロナ禍の影響の底打ちが早かった「情報通信業」は63%。改善基調は続けているが、「テレワークの積極的な活用などによりオフィス床面積の拡大を抑制している可能性が考えられる」とした。
22年下期に拡張移転が多かった東京都心部のエリアは、1位が「新宿・四谷」81%で、「西新宿」79%、「代々木・初台」75%が続いた。縮小移転の多かったエリアは、「五反田・大崎・東品川」50%、「丸の内・大手町」54%、「浜松町・高輪・芝浦」54%など。Aクラスビルの意欲の低下とBクラスビルの意欲上昇から、「大企業は集約統合やオフィス床削減などの姿勢を継続した可能性が考えられる」と指摘している。
2023.03.03