3年ぶりに下落ゼロ、店舗需要回復進む

―地価ルック、都心オフィスは横ばい傾向

 国土交通省は、22年第4四半期(22年10月1日~23年1月1日)の地価の先行動向「地価LOOKレポート」を公表した。マンション需要の堅調さに加えて店舗需要の回復が進み、19年第4四半期以来3年ぶりに全国全ての地区で上昇か横ばいで、下落地区がゼロだった。全国80地区の内訳は、上昇が71地区(前回65地区)、横ばいが9地区(14地区)。

 横浜市や名古屋市、京都市、大阪市では全て上昇となった。変動率区分(上昇・横ばい・下落の区分)は8地区が上方に移行、72地区が不変だった。住宅地は23地区全てが前回同様に上昇継続のため、変動率区分に動きがあったのは全て商業地。横ばいから上昇(0~3%)に移行したのは6地区で、福島県郡山市・郡山駅周辺、東京・新宿区・歌舞伎町、東京・渋谷区・表参道、金沢市・金沢駅周辺、神戸市・三宮駅前、福岡市・博多駅周辺。下落から横ばいに移行したのは熊本市・下通周辺。「0~3%上昇」から「3~6%上昇」に移行したのは東京・中野区・中野駅周辺。

 中野駅周辺は複数の大規模な再開発事業が進行し、繁華性の高い通り沿いは需要の競合で、取引価格が上昇している。歌舞伎町は来街者が回復し、今後のインバウンドの回復期待から投資需要が堅調。博多駅周辺は博多コネクティッドプロジェクトが進み、期待感から旺盛な取得意欲が生まれている。東京圏の都心中心部オフィス街は横ばいで、「新築ビルの竣工によるオフィスの新規供給が続くなか、事業の統廃合による解約も一部でみられ若干弱含みで推移するが、投資意欲は旺盛なためトータルで横ばいになった」(不動産・建設経済局地価調査課)。「3~6%の上昇」は中野駅周辺と福岡市中央区・大濠のみ。

2023.03.03