地銀向けに新・既存住宅担保評価モデル

─国交省、今夏に専門チーム立ち上げへ

 国土交通省は、地域金融機関向けの新たな既存住宅の担保評価モデルを構築する。夏までに評価モデルの検討を行う専門チームを立ち上げ、23年度中に仕上げる方針だ。金融機関の建物の担保評価は、リフォームなどの維持修繕が考慮されず、築年数が増えるほどマイナス評価になる。既存住宅への消極的な融資姿勢や貸出額の制約の要因にもなっている。特に地銀は、メガバンクに比べ、規模的に既存住宅の担保評価に十分なリソースを割けない状況。使いやすさやマンパワー削減にも配慮し、地銀による適切な既存住宅の担保評価を支援する。

 国交省は、14年にも「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定している。築20年以上経った建物は市場価値をゼロとする取引慣行の解消を目指した。取引価格に関しては、この指針や業界の努力もあり、リフォームなど個別事情の適切な反映が進んでいる。一方、金融機関の担保評価は、まだ築年数の偏重傾向が続く。21年の住宅金融支援機構の民間金融機関を対象にした調査では、建物部分の担保評価は戸建て、マンションとも「経過年数に基づき評価」が8割を超えた。リフォームを含めた物件ごとの品質差は考慮されていない。

 国交省は23年度予算で地銀を対象にした「既存住宅・マンション等価値発見モデル事業(仮称)」を創設する。このモデル事業のなかで、規模的に既存住宅の担保評価の変革に取り組みづらい地銀の後押しをする。地銀への事前のヒアリングでも、既存住宅の担保評価手法を求める声があった。同モデル事業では、マンションの大規模修繕工事の管理組合向け融資に対して、地銀が取り組みやすいやり方の検討も行う。

2023.02.03