国交省、マンション建替えへの意見聴取
─有識者検討会、形態規制など阻害要因に
国土交通省はマンションの建替えに関し、今後の政策のあり方について関連団体からの意見聴取を実施した。不動産協会、東京大学不動産イノベーション研究センター(CREI)などが、現場での課題や改善点などに対し意見を述べた。
国交省は、法務省が進める区分所有法制の見直しを踏まえ、マンションの管理・修繕の適正化や再生円滑化といったマンション政策の今後の方針を議論している。このほど行われた有識者会議の第3回は、建替えを取り上げ、関係団体などから報告を受けた。
不動産協会は、建替えを阻む要因として、形態規制(日影規制や斜線規制が緩和の対象外で建替後の余剰床創出が難化)、住戸面積要件(建替組合設立の認可基準が建替後原則50㎡以上)、区分所有者負担(引っ越し費用など)の3点を挙げた。これらの緩和のほか、借地権マンションの建替え促進のための所有権マンションへの権利変換制度など、総合的対策を求めた。
CREIは、法務省での議論の素地となった区分所有法制研究会のとりまとめを元に論点集を発表。同研究会が方向性を示したもののうち、マンション政策でも議論が必要な事項、方向性は示されなかったが検討すべき事項を整理した。方向性が示された事項のうち、管理不全専有部分の管理制度創設については、行政など第三者による関与の仕組みを提案。一方、同研究会が方向性を示していないものとしては、別の場所で建替える「非現地建替え」を挙げ、これを許容することの検討を提案した。
第4回は2月20日に管理・修繕をテーマに開催予定。国交省は、有識者会議での意見を踏まえ今夏にマンション政策大綱をとりまとめる。
2023.01.20