不動産ID、広がるユースケース

―今秋スタート、建築・都市や防災・宅配など

 不動産を特定しやすくするため、物件ごとに幅広く共通で用いられる番号を付す「不動産ID」。そのテスト運用が今秋から始まる。当初は、不動産事業者の業務効率化などが見込まれていたが、不動産の番号をデータ化するため、デジタル上の情報連携が可能となり、建築・都市をはじめ、物流や保険、自治体の防災や空き家対策など、活用(ユースケース)が広がりをみせている。

 これまで課題となっていたのが住所表記の「ゆれ」。簡略表記など、間違いとはいえない何通りかの住所表記が併用されているケースがある。加えて、不動産業務上、登記簿の地番と地図上の住居表示(住所)を照合する必要があるなど、物件の特定に手間や時間がかかり、サイト上の物件広告が不適切になる可能性も指摘されていた。国土交通省では、今秋までに、登記簿上の不動産番号をもとに、まずは全国440都市分の不動産IDを活用可能とし、試験運用に対応する。

 不動産IDは、登記簿上の不動産番号をもとにしつつ、データ化することでデータ連携を可能としており、不動産分野では、用途地域、建ぺい・容積率などの都市計画情報やハザード情報と連携させ、重要事項説明(重説)書面作成の手間を効率化できるとみられている。また、建築・都市関係では、建築物のデータを3次元化する「建築BIM」と都市の空間情報を3次元化した「プラトー」との3者連携による「建築・都市のDX」が掲げられ、不動産開発・運営の迅速化や精緻化が見込まれている。さらに、自治体の地域政策や多業種の新サービス・新産業の創出でもユースケースが挙げられ、自治体関係では、不動産IDをキーとした被災エリアにおける要支援者特定など、また、各民間分野では、宅配・物流分野の再配達削減、住所不明の解消、保険・金融分野での保険料算出の迅速化などが見込まれている。

2023.07.28