不特契約のトークン化に金商法の規制

─改正金商法案が閣議決定、国会提出へ

 政府は、不動産特定共同事業契約をデジタル証券化(トークン化)して販売する場合に金融商品取引法のルールを適用することを含む金商法改正案を閣議決定し、国会に提出した。法案は、デジタル化の進展に対応し、金融サービスの利便性向上と顧客保護を図ることが主題。増えつつある不動産を裏付けにしたトークンに一定の規制をかける。

 不動産特定共同事業は、出資を募って不動産を売買・賃貸するなどして、その収益を投資家に分配する仕組み。この契約に基づく権利を分散台帳技術(ブロックチェーン)を使ってトークン化し、流通させようとする動きが活発化してきている。不動産特定共同事業は、不動産特定共同事業法(国土交通省)による監督が行われているが、不特事業契約に基づくトークンには金商法上の規定がなかった。トークンは有価証券の性質があるため金商法の規制対象とする規定が既に整備されている。不特契約に基づく権利のトークンについても、金商法の対象にし、同法の販売・勧誘規制を適用する。トークン化された不特契約を販売するには金融商品取引業の登録が必要になるほか、広告などの規制も受ける。

 このほか今回の金商法の改正では、インターネットで集めた出資を企業に貸し付ける「ソーシャルレンディング」も規制を強化する。ソーシャルレンディングの運用を行うファンドを販売する第二種金融商品取引業者に対して、運用報告書の交付を義務付ける。運用報告書の交付が担保されていないファンドの募集は禁止する。こうしたファンドを巡っては、投資家への情報提供が不十分なケースがあり問題になっていた。

2023.03.24