2022年都道府県地価調査・全用途平均は3年ぶり上昇の+0・3%

―国交省、全国の住宅地が31年ぶりに上昇

 国土交通省は20日、22年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)の結果を発表した。全用途平均は+0・3%で、3年ぶりに上昇した。住宅地の全国平均は+0・1%、商業地の全国平均も+0・5%となり、今年3月の地価公示(一部調査地点が基準地価と重複)に続き、全用途・住宅・商業が全てプラスに転じ、地価の回復傾向が鮮明になった。

 コロナの流行も第1波から2年が経過し、経済活動の正常化が進んでいることが地価にも表れた。1月1日時点の地価公示との共通地点(1618地点)で1年の前半・後半を分けると、地方四市を除いて全都市圏域で住宅・商業とも年後半(22年1月1日~7月1日)のほうが高い上昇率を示している。住宅地は、全1万4560地点のうち、上昇地点の割合は34・9%(昨年21・9%)、横ばい17%(22・8%)、下落48・1%(55・4%)。商業地は全5174地点のうち上昇は40・7%(21・6%)、横ばい17・2%(23・5%)、下落42・1%(54・9%)。住・商ともに上昇地点が大きく増え、横ばい・下落は減少している。

 住宅地の全国平均は91年の+2・7%を最後に長らくマイナスの時代が続いていたが、31年ぶりに上昇に転じた。都心部では旺盛な住宅需要と低金利環境や住宅取得支援施策の継続を背景に地価上昇が継続している。東京都は23区全体が+2・2%(+0・5%)で全ての区で上昇率が拡大した。今回の基準地価の住宅地の上昇は、都心部に限定したものではなく、郊外部にも上昇範囲が拡大しているのが特徴だ。東京圏の住宅地で上昇率トップ3を占めたのは、茨城県つくばみらい市のつくばエクスプレス線みらい平駅周辺だ。駅から470mの「つくばみらい-1」が東京圏ナンバー1の+10・8%、次いで「同-10」が+10・4%、「同-9」が+10・0%。つくばエクスプレス沿線では住環境が良好な新興住宅地の整備が進み、なかでもつくばみらい市は、転入者も増えたことから地価上昇が続いた。

 近年の地方住宅地の上昇の牽引役である札幌・仙台・広島・福岡の「地方四市」の周辺へのしみ出しも郊外好調の要因。住宅地の上昇率トップ10は全て北海道の地点が占めた。北広島駅の再開発「ボールパーク事業」が進んでいるほか、上昇率全国4位の北海道江別市の「江別-10」は+25・3%で、札幌市中心部の地価上昇や供給不足により相対的な割安感が評価された形だ。コロナ禍で従来の別荘需要だけでなく生活スタイルの変化による移住や二地域居住需要で上昇した長野県軽井沢町の「軽井沢-1」は+12・5%で、昨年の+10・9%を上回る上昇が続いている。

2022.09.30