国交省、不動産ID活用へ来春に協議会
―不動産業界を中心に幅広い分野で実証
国土交通省は、土地や建物の共通コード「不動産ID」を情報連携のキーとして、不動産取引や都市開発の活性化など不動産業界を中心に、物流や防犯、保険、行政など幅広い分野でのDXを推進する。ID活用に関心のある民間企業や団体を募って、協議会(官民プラットフォーム)を来春に立ち上げて、ビジネス実証を行う。国交省は2日に成立した22年度第2次補正予算に関連予算を計上していた。
ID活用の中心となる不動産分野ではガスや上下水道、都市計画情報などを取得しやすくし、重要事項説明に要している調査の負担を軽減して宅建業者の手間を省けたり、都市開発をスピードアップさせたりする効果を見込む。近年、市場規模が拡大している物流分野では、IDによって正確な住所データベースを構築することで、配送管理の効率化を図るほか、自動運転やドローン配送でも玄関や屋上など配送場所をピンポイントで指定できるようなイメージだ。
防犯分野では、緊急時に素早く家屋の把握や関係機関への情報連携ができることが期待され、保険分野ではIDとハザード情報を組み合わせることで保険料の算出を高度化することも可能とみられる。行政分野でもIDを介して空き家の実施調査結果に住民データや水道使用量のデータを紐づけて、空き家の把握や推定をしやすくできそうだ。
国交省はIDと、都市分野のデジタルインフラとなる3次元都市モデル「プラトー」、建築分野のデジタルインフラに位置付ける「建築BIM」の三つを連携させ、「建築・都市DX」のデータ群を構築していく構想を描く。不動産IDの付番支援も進めるため、デジタル庁や法務省と連携。IDの取得・確認手法の実用化に向けた技術実証を実施する予定。
2022.12.09