空き家対策、官民の取り組み事例を共有
―国交省小委、業界団体が現場の意見示す

 国土交通省は、社会資本整備審議会住宅宅地分科会空き家対策小委員会の第2回を開催した。空き家対策の強化に向けて、地方自治体や業界団体、民間企業など7主体の取り組みをベースに総合的な意見交換を行った。不動産業界からは、全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会が招かれプレゼンを行った。

 全宅連は、「所有者が不明な空き家の所有者情報の開示制度の創設への提言」を発表。市町村が空き家所有者情報を民間事業者などに提供する場合、国交省は運用指針「空き家所有者情報の外部提供に関するガイドライン」を策定しているが、必ずしも指針通りの運用がなされていないと指摘。「宅建業者(宅建士)に対して一定のルールのもと固定資産税を基にした所有者情報を開示できる仕組みの構築が必要」と訴えた。

 全日は群馬県本部が空き家の相談事業の取り組みを通じた所感を説明。空き家バンクに登録する不動産業者が少ない市もあり「不動産業者自体が空き家に対して積極的に取り組めていないのが実情」と厳しい現状を報告した。一方で、全日総本部の見解として「地方行政と民間業者がしっかりと手を組み、行政側が資金援助をしっかりしていけば問題は解決できる」といった意見も示した。

 このほか、エリア内に分散する空き家をまとめて、町全体をホテルとしてマネジメントするNOTE(兵庫県丹波篠山市)などの取り組みが紹介され、委員らが意見を交換。小委員会委員長の中川雅之・日本大学経済学部教授は、「共通して、相続が空き家の大きな原因になっているという指摘があった。相続が問題の発端という認識をもったうえで国交省で様々な検討をしてもらえればと思う」と整理した。

2022.12.02