建物省エネ性能の表示ルール議論を開始
―国交省、販売・賃貸時の全事業者対象

 今年6月の建築物省エネ法改正に盛り込まれた建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度について、具体的な表示ルールを詰める国土交通省の有識者会議が立ち上がり、議論をスタートさせた。表示制度の施行は24年4月の予定。検討会では来年2月に表示ルール案を取りまとめる。消費者に分かりやすく、事業者にとっては取り組みやすい仕組みづくりを目指す。

 初回会合の冒頭で国交省の塩見英之・住宅局長は表示制度について「省エネ性能に対する消費者・住宅取得者の意識、関心を高めるものとする必要がある。そして住宅取得者の選択に当たって、より高い性能の建築物が選ばれるような市場環境を整えていく政策が極めて重要だ」と強調した。

 17日の初会合では、省エネ性能として「何を表示すべきか」をはじめ、新築物件と違い性能が不明な場合も多い既存物件では何を表示すべきかなどを議論した。表示の時期や表示の対象物、表示するラベルの統一化もポイントで、一部の委員からは表示の時期について、広告のタイミングが望ましいといった意見が出たほか、業界団体からは表示制度と合わせ、買主や借主の省エネニーズの喚起や感度を高める支援や発信が必要との意見もあった。

 12月21日の次回会合では、表示ルールの素案を示したうえで、表示制度の施行に向けた環境整備や施行後の運用ルールを議論する予定。改正法では、性能表示の努力義務の対象は「建築物の販売または賃貸を行う事業者」と定義しており、表示を行っていない場合、国交相は勧告、命令を出すこともできる。表示ルールは国交相告示で定める。告示の公布は来春の予定。

2022.11.25