所有者不明土地の活用拡大へ指針を改訂
―国交省、再エネ設備の具体的条件など
国土交通省は、改正した所有者不明土地特別措置法(11月1日施行)に合わせ、所有者不明土地を民間も最大20年間使用できる「地域福利増進事業」のガイドライン(指針)を改訂した。法改正で対象事業に再生可能エネルギー発電設備を加えており、指針ではその具体的な条件を定めた。対象となる土地の範囲も広げ、「朽廃した空き家」が残る土地も追加されており、該当する空き家の考え方も指針に記載した。
地域福利増進事業は所有者不明土地に使用権を設定して活用するもの。今回の法改正では再エネ設備も整備できるようにした。ただ、単に売電収入を目的とする再エネ事業は対象外で、発電した電気を古民家など公益的な施設に供給するか、売電収入の一部を地域活動に取り組むNPO法人に寄付することなどを要件としている。指針では「公共共益施設や地域住民への住居等への供給が発電量の半分に満たない」ケースは事業に該当しないとした。
「朽廃した空き家」の考え方については、災害時の被害認定基準で「全壊相当」の場合や、「半壊相当」でかつ「使用するには大規模な補修または相当規模の補修」が必要な建物と明示。構造や用途に応じた耐用年数を超えていることも条件だが、大規模な補修を行わなければならいないほど劣化が進んでいるケースは、耐用年数を超えていると見なす。
法改正では、コンビニやスーパー、家電販売店など「購買施設」や再エネ設備などは、土地使用権の期間を従来の10年から20年に延ばした。指針では、使用権の代わりに支払う「補償金」の算定方法を見直し、清掃や除草費といった維持管理費を補償金から控除できるようにした。事業者にとっては負担軽減となる。
2022.11.18