法務省、法制審に区分所有法制部会設置
―建替え要件を緩和、少数反対者にも留意
法務省は、法務相の諮問機関である法制審議会に区分所有法制部会を設置し、10月28日に初会合を開いた。部会長には佐久間毅・同志社大学大学院司法研究科教授が就き、今後月1回のペースで部会を開いて区分所有法の改正議論を進める方針。初回は約30名の委員が集まり、区分所有法の見直しの方向性について自由討議を行った。11月25日の第2回で、分譲マンションの建替え要件の緩和から検討に着手する。
部会が重視するのは、区分所有建物の管理と再生の円滑化、被災した区分所有建物の再生の円滑化だ。まず着手する建替え要件の緩和は、再生の円滑化の一環。建替えを実施するには区分所有者と議決権のそれぞれ5分の4以上の賛成が必要だが、この要件は厳格で、迅速に建替えを行うことは事実上難しい。部会では「5分の4」からの引き下げを検討する。初回の自由討議では委員から、「誰もが少数者になり得る。多数の優先だけでなく、少数反対者の利益にも留意するよう慎重な議論を」との要望があった。売却など建替え以外のツールを増やすことも検討する。
管理の円滑化の議論では、所在不明の区分所有者が増加していることを受け、所在不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みを検討する。国土交通省の調査によると、所在不明の区分所有者がいるマンションの割合は約3・9%で、古いマンションほど区分所有者の所在不明住戸の割合が高くなる傾向がある。
集会に出ず議決権も行使しない区分所有者は、反対者と同様の扱いになるため、円滑な管理を阻害する。部会では「マンション管理の実務でもマンション再生という観点でも、所在不明者の存在は極めて大きな問題だ」とする声があった。
2022.11.11