不動産の社会的効果にロジックモデル
―国交省、来年1月にガイダンス素案
国土交通省は、不動産が社会課題(ESGのS分野)に与えるインパクトの評価方法を整理したガイダンスを策定する「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会」の第2回会合をこのほど開いた。会合ではガイダンスの目次や不動産ESGの基本的な考え方、社会的インパクトの設定・評価などの素案を提示。来年1月下旬に開く次回会合ではガイダンス素案、同年2月下旬の会合でガイダンス案を示し、本年度末に取りまとめる。
ガイダンスでは不動産による社会的なインパクトの評価に、「ロジックモデル例」という考え方を取り入れる。ロジックモデルとは、事業や組織が最終的に目指す社会的な変化や効果の実現に向けた道筋を図示化したもの。具体的には①具体的な事業活動(アクティビティ)②主体者によって直接的にもたらされた実績(アウトプット)③不動産やサービスの利用者、地域住民・社会、関連する労働者にもたらされる変化や便益(アウトカム)④アウトカムの実現によって目指す、アクティビティに関連する社会的効果(インパクト)―の順で体系的に示す。例えば、アウトプットは集客施設の概要やサービス内容、アウトカムはイベント開催の回数や経済波及効果といったイメージだ。
ただ、不動産の社会課題に対応した事業や取り組みは個別性が高いため、ロジックモデル例の活用については、独自のアウトプットやアウトカムを設定することも可能とし、柔軟性を持たせる方向。このほか、ガイダンスではオーバーツーリズムといった「ネガティブインパクト」も記載し、不動産ESG評価項目の事例集(11事例)、ロジックモデル例の事例集も収録する予定。
2022.11.11