民間工事の物価変動対応に有識者が意見
―国交省検討会、年度末に取りまとめへ

 国土交通省の有識者会議は、民間企業が発注した工事で資材高騰といった物価変動による建設工事の請負金額変更(スライド)が行われにくい契約状況について議論を進めている。26日の会合で委員からは、スライドについて記載している標準約款を民間発注者との工事契約で利用するよう努力義務にする意見や、国交省や都道府県知事による建設業法に基づく勧告対象に民間発注者を加えるべきといった制度的な対応を求める意見が出た。有識者会議では本年度末までに取りまとめを行う。

 26日に開催されたのは「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の第4回会合。民間工事における価格変動への対応などについて議論した。国交省によると、委員からは「民間の契約なので(民法の)『契約自由の原則がある』とよく言われるが、それを重視しすぎる必要はない」「例えば、民間標準約款の利用を努力義務とするなど大きな施策が必要ではないか」との発言があったという。中央建設業審議会の「民間建設工事標準請負契約約款」の第31条では、発注者や受注者は、価格変動や経済事情の激変によって「請負代金額の変更を求めることができる」と記載されている。

 また建設業法では「不当に低い請負代金」を禁止しており、違反する場合は国交省などが発注者に「必要な勧告をすることができる」としているが、勧告対象から民間事業者は除外されている。この点について複数の委員が言及し、「民間事業者に対する勧告権がないのは疑問」「追加するべきでないか」という意見が上がったという。検討会は11月と12月にも開かれる。

2022.11.04