入居者や投資家が管理するシェアハウス
―国交省ひとくらし研が紹介、第3期開始

 国土交通省は13日、「『ひと』と『くらし』の未来研究会シーズン3」の初回を開催した。不動産業・不動産管理業が業種を超えて地域と連携し、地域価値を生み出す「共創」を研究する。3期は空き家や築古物件の活用と、そのための多様なファイナンス手法がテーマ。3期初回は空き家に関連し、新たな仕組みを研究するため、ウェブ3・0を取り上げた。新しい管理形態のDAO型シェアハウスに挑戦する巻組(宮城県石巻市)とガイアックス(東京・千代田区)を招いた。

 DAOは、特定の誰かではなく、全員参加で進められる新たな組織運営の概念。巻組らは「みんなが大家」と掲げ、東京・神楽坂で空き家を改装した「Roopt神楽坂」(4室10ベッド)でDAOに取り組む。トークン(暗号資産)購入者が、トークンを消費することで居住やコワーキング利用ができ、管理にも関わる。利用対象は学生・起業家に限定。NFTは希望数×3万円で購入でき、運営に貢献した人には、コミュニティ内でのみ使える報酬(リワードトークン)が発行される。トークン保有者は現在30~40人程度で、入居者は4人。大半が住まずに運営に携わるという。巻組の渡邊享子代表は「管理に対して消費者は前向きではない。他人にお任せという考えに今後どう向き合うかが大事だ」と語った。

 このほか、東京・墨田区で地域のコミュニティ財となっている長屋などの寄付の受け皿となり、管理と新たな事業者への貸付を行う(一財)八島花文化財団の取り組み(年内設立予定)を紹介した。3期は全4回で、23年3月にこれまでの総括と提言をとりまとめる予定。次回11月24日はファイナンスと築古物件の活用円滑化を取り上げる。

2022.10.20