Jリートのグリーンファイナンス加速へ
―三井住友信託調べ、環境認証取得は6割
三井住友信託銀行は、Jリートの運用会社でグリーンファイナンスによる資金調達の加速を予想する調査をまとめた。グリーンファイナンスとは、企業や自治体などによる国内外のグリーンプロジェクトに要する資金調達。Jリートのグリーンファイナンスは、3月時点でJリートの有利子負債全体の4%程度に過ぎない一方、グリーンファイナンスの対象となりうる環境認証は、Jリート全体の物件取得価格の6割近くが取得しているため、拡大余地は大きいとする。
調査では、LED照明の導入による省エネルギー化や太陽光パネルの設置、再生可能エネルギーの調達などJリートは様々な取り組みを行い、3月時点のグリーンファイナンス残高4184億円(前年同月比1371億円増)への拡大を明らかにした。Jリート全体の有利子負債10兆2327億円(同4472億円増)の4%程度にとどまるが、増加分の31%をグリーンファイナンスが占めている。内訳は、金融機関から資金を借りるグリーンローンは1107億円、企業が発行する債券グリーンボンドは3077億円。特に、グリーンボンドは、Jリートを運用する61社のうち36社に発行実績があり、活用が進んでいる。投資法人債は、発行する度に格付会社からの格付が付与されるため、金融機関にとってのESG投資の受け皿としても機能。投資家の裾野も、メガバンクに加えて地方銀行や信用金庫などの金融機関まで広がっているという。
グリーンファイナンスの調達資金は、使途の限定や管理、透明性確保などが調達コストとなる一方、Jリートの物件の取得価格ベースで6割近い約12・8兆円が環境認証を取得済みと前提の整備は進んでおり、今後の取り組みの加速を見込んでいる。
2022.10.07