建設費高騰の対策、不動産2社が意見
―国交省検討会、リスク分担の考え方焦点
国土交通省は、建設資材価格の高騰を受け、発注者側である不動産業界に対しヒアリングを実施した。不動産協会会員2社が参加。建設業界が求める物価変動対応策(いわゆる「スライド条項」)の民間工事への適用は、実態とは合わないことなどを主張した。
このほど開催された「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」では、「価格変動に対応した契約のあり方」を取り上げた。受発注者間でどうリスクを分担するかが焦点。不動産2社は、それぞれの専門領域でリスクテイクが可能であるとし、「発注者としては、事業リスクをとっている。物価変動などのリスクも加えた総価の契約金額となっている」と価格設定の考え方を説明した。建設業界については「不動産業に不可欠なパートナー。物価高騰についても長期でウィンウィンとなるよう丁寧に対応している」と話した。
一方、建設業界からは、公共工事で価格変動があった場合に請負代金の変更請求を可能とするスライド条項(公共工事標準請負契約約款第26条1、5、6項)を、民間工事にも導入するよう求める声がある。これに対し2社は、公共と民間では価格設定の考え方が異なることを説明した。公共はその時の実勢価格の単価を積み上げて予定価格を決める。民間は物価変動など動き得るリスクも加えた総価の金額であり、「総価前提での契約に、(単価ベースの)公共でのスライド条項を入れるのは制度上整合しない」と主張した。
委員からは、「契約金額の透明性が必要なのではないか」などの意見や、中央建設業審議会(国交省)が作成した標準約款が、民間で使われていない実態などの問題提起があった。次回は、委員間での議論を予定する。
2022.09.16