LCCM住宅支援の対象に共同住宅追加
―国交省、長寿命化モデル事業も拡充へ
国土交通省・住宅局は、23年度予算概算要求の重点分野の第一に「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」を掲げる。改正建築物省エネ法が成立し、25年度までに全ての新築の住宅・建築物に省エネ基準適合が義務化されることになった。住宅・建築物分野の省エネ対策強化を国として支援していく。
住宅の脱炭素化推進のため、「LCCM住宅整備推進事業」の拡充を要求した。LCCM住宅は、住宅の使用段階だけでなく、資材製造や建設段階などでCO2排出量を削減し、ライフサイクル全体を通じたCO2排出量の収支をマイナスにする住宅。従来は新築戸建てが対象で、戸当たり140万円を限度に補助してきた。対象に、新たに共同住宅を追加することを求める。LCCM住宅普及のため、その前段階の先導的取り組みを支援する。
既存ストック対策も重点分野のひとつ。高経年マンションの再生を計画段階と工事段階で支援する「マンションストック長寿命化モデル事業」には15億円を要求。支援対象に「地方自治体と管理水準の向上に取り組む管理組合」を加える拡充を検討する。改正マンション管理適正化法により自治体がマンション管理に関与する権限が強化された。自治体の助言などを受けたマンションの改善の取り組みを後押しする狙い。
新規要望で「火災安全対策改修事業の創設」が入った。大阪市北区のビル火災事件を受け、国交省と消防庁は既存ビルの火災安全対策をまとめている。直通階段の増設などを求める。これを受け国交省は建築基準法の改正を想定するが、建築基準法の対象は新築で、既存ビルは規制の対象外。既存ビルに対する支援メニューを用意して、オーナーの安全対策実施を促す。
2022.09.02