「相続土地国庫帰属制度」の大枠固まる
―法務省、23年4月27日から申請開始へ

 法務省は、相続した土地を手放し、国に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」の大枠を固めた。申請者が国に納める負担金は、宅地・農地は面積にかかわらず原則20万円とする方針。市街地の土地や森林は、一定の計算式を用いて面積に応じた額を算定する。崖地など利用できない土地の具体的基準を設ける政令案も固まった。相続土地の所有権放棄を認める日本初の制度は、来年4月27日からスタートする。

 面積に応じ負担金額を計算するのは、宅地の場合は都市計画法の市街化区域内・用途地域内の土地。農地(田・畑)の場合は、市街化区域内・用途地域内、農業振興地域整備法の農用地区域内、土地改良事業等の施行区域内の農地。森林は全て面積で計算する対象。例えば宅地で市街化区域内の150㎡の土地の場合、負担金額は67万500円になる。制度の利用には審査手数料も必要になるが、この金額は今後詰める。

 相続した土地が遠隔地にあり、自分では活用・管理できないため手放したいというニーズは高まっている。こうした土地は、放置されると所有者不明土地になるおそれがある。その防止策として創設された制度だが、どんな土地にも放棄を認めてしまうと、モラルハザードが発生しかねない。墓地や境内地など他人による使用が予定される土地は対象外。隣接所有者等によって通行が妨害されているなど、いわば「権利トラブルを抱えた土地」も利用不可。勾配30度以上で高さ5m以上の崖地、建物及び建物がある土地も対象外。

 却下・不承認となる条件は多いが、相続による取得であれば、制度開始前(数十年前の相続でも可)に取得した土地でも制度を利用できる。

2022.08.26