21年度の証券化資産額は46.8兆円に
―国交省調査、リート等の住宅取得増える

 国土交通省は1日、21年度の「不動産証券化の実態調査」の結果を公表した。21年度に証券化の対象となった不動産と信託受益権の資産総額は、20年度から2.8兆円増加し46.8兆円となった。このうち、私募リートを含むリートと不動産特定共同事業(FTK)の取得資産をアセット別にみると、住宅の増加が目立った。コロナ禍でも安定的な賃料収入が見込める住宅の人気が高まっている。

 スキーム別の実績では、リート等・FTKの対象として取得された不動産または信託受益権の資産額は約2.4兆円で、コロナの影響が直撃した20年度の約2兆円を上回り、コロナ前の2兆円超の水準まで回復した。リート等・FTKが譲渡した資産額は約9000億円で、前年の4000億円から2倍以上に増えた。これは、オフィス系リートの上場廃止による資産の清算が主な要因とみられる。その特殊要因を除くと譲渡額は例年通りの水準。なお、推計方法の変更を要するため、21年度はスキーム別の実績からその他私募ファンド(TMK、GK-TKスキーム)の分は除かれている。

 リート等とFTKが21年度に取得した資産額の割合を用途別にみると、最多はオフィスで32.7%、次いで物流施設22.3%、住宅が19.4%だった。20年度と比較すると、住宅が13.3%から増加。在宅勤務が定着したこともあり、安定的な賃料収入を求めて住宅取得需要が高まっている。商業施設は20年度の4.2%から21年度は9.3%に増え、手堅い動きに。宿泊施設は1.2%で前年の1.6%から更に2年連続で減少し、コロナ前の19年の19.3%の水準には回復していない。

2022.08.05