環境認証9割超がCASBEEとDBJ
―JLL調べ、Jリートやファンドら牽引
建物の環境負荷を下げる工夫を凝らしたグリーンビルディングの認証を取った国内のビルのうち、全取得件数の9割以上を「CASBEE(建築物総合環境性能評価)」と「DBJグリーンビルディング」が占めていることがジョーンズラングラサール(JLL)の調査で分かった。オフィスビルや物流施設など不動産における環境配慮の機運が世界的に高まるなか、日本でも認証を取る動きが広がっている実態が浮かんだ。
認証制度を運営する主要団体の公表データをJLLが独自に集計した。その結果、Jリートや大手の不動産会社らが牽引役となり、特に18年以降に認証件数が増えていた。4年余りで500件超の取得事例が確認された。国内基準であるCASBEEとDBJのほか、世界標準の「LEED」認証も増加傾向だった。
昨年に最も多くの認証を得た主体はJリートで全体の40%を占める。次点以下は私募ファンド(30%)、不動産会社(13%)の順。私募ファンドの認証取得は18年から21年にかけて約4倍に拡大した。既存物件の認証取得が増えているのも特徴で、昨年時点の新旧別の認証取得比率は既存が86%、新築が13%だった。
環境認証は建築物自体の環境性能だけでなく、周辺環境への悪影響を抑えられる建設資材や施工方法、入居者の健康への配慮などを加味した評価方法が採用される傾向がある。認証を取っていない不動産は相対的に市場競争力が下がり、「ブラウンフィールド」の状態に陥るリスクがあるとJLLは指摘する。ブラウンフィールドとは70年代の米国で生まれた造語で、土壌汚染など環境上のデメリットを理由に土地やビルなどが使われなくなる状態を指す。
2022.07.15