21年度の不動産取引、20%増の4.3兆

―都市未来総研まとめ、物件大型化進む

 みずほ信託銀行のシンクタンク、都市未来総合研究所は、21年度の国内不動産の売買取引額をまとめた。売買取引の総額は4兆3707億円で、20年度から20.4%増加した。取引物件の大型化が進み、1件当たりの平均取引額は過去最高を更新。買主はJリートや外資系法人、売主は不動産・建設セクターや事業法人・金融法人の比率が高かった。

 開示や報道された法人による国内不動産の売買取引額を集計した。売買取引総額はコロナ禍前の19年度とほぼ同水準となった。1件当たりの平均取引額は55億8900万円、取引件数は782件だった。価格帯としては200億~500億円が最も多かった。買主のセクターは、「Jリート」「外資系法人」「SPC・私募リート等」「事業法人・金融法人等」、売主は「不動産・建設」「事業法人・金融法人等」の順で取引額が多かった。

 このうち「SPC・私募リート等」による物件取得は、セール&リースバック案件の大規模オフィスビルの取得や賃貸マンションなど複数物件の一括取得によって大幅に増え、20年度比で134.5%増だった。一方、物件の売却は、「不動産・建設」による系列Jリートや私募リートへの譲渡、「事業法人・金融法人等」によるオフィスビルやホテルの譲渡などで目立った。外資系による売却は低水準だった。

 用途別で取引額が大きかったのはオフィスビル、物流施設、住宅の順だった。オフィスビルの取引総額は1兆6208億円で、主な売主は「不動産・建設」、「事業法人・金融法人等」。「事業法人・金融法人等」は自社オフィスを売却した事例が多かった。

2022.07.01