耐震・環境不動産形成促進事業を継続

―国交省と環境省、検討会が今後の方針

 国土交通省と環境省は、耐震・環境不動産形成促進事業のあり方検討会(座長=中川雅之・日本大学経済学部教授)の第3回を開き、同事業の見直しのとりまとめ案を決定した。案をベースに7月中に正式なとりまとめを公表する。環境要件の引き上げなど、時代に適した見直しを行い、来年度からの事業に反映する。

 耐震・環境不動産形成促進事業は、老朽化した不動産や低未利用の不動産を、耐震・環境性能を有する良質な不動産に更新(改修・建替え・開発)するもの。国の基金から民間投資の呼び水となるリスクマネーを供給する。23年で事業開始から10年を迎えることから、支援要件の見直しと、出資スキームの合理化などを検討会は議論してきた。

 脱炭素社会への転換が重視され、耐震・環境性能の高い不動産の形成は今後も求められることから、検討会は事業を23年度以降も継続する必要性を確認。一方で、事業が求める環境要件の引き上げを実施する方針を固めた。具体的な要件は2省で引き続き検討し、来年度事業は新要件とする。引き上げ後の環境要件を踏まえて、23年度以降の新たな目標値を設定する。出資スキームについては、LPSを経由せずにSPCへ直接出資するスキームなど、新たな出資スキームの導入を検討。民間事業者との連携強化にも取り組み、不動産AM会社等には積極的に働きかけを行う。

 不動産・建設経済局の長橋和久局長は議論のとりまとめに寄せて、「わが国の不動産分野における脱炭素化・温室効果ガス削減や、ESG投資促進を進めていくうえで、耐震・環境性能を有する良質な不動産の形成の一翼を担う本事業は必要不可欠なものと考える」と事業の重要性を強調した。

2022.07.01