所有者不明私道の対応ガイドライン公表
―法務省、民法改正を反映した改訂実施
法務省は7日、「所有者不明私道への対応ガイドライン」の改訂版(第2版)を公表した。18年時点の法解釈で作成された旧指針に、共有制度、財産管理制度や相隣関係の規定に見直しがあった21年の民法改正の内容を反映。複数の所有者がいる私道の管理で問題となる全37事例を示し、23年4月1日施行の改正民法ではどのように対処するか、分かりやすく解説した。
共有私道は、補修工事などを行う場合に共有の規定が不明確で、これまでは全員の同意を得る運用がなされていた。21年の民法改正で共有制度が見直され、保存行為は各共有者の単独で可能に、管理・軽微な変更は過半数合意、軽微以外の変更は全員同意と、ルールが明確化された。また、工事の賛否の返事をしない賛否不明共有者を除いた管理の仕組みや、所在等不明共有者を除いた変更・管理の仕組みも導入された。相隣関係の見直しで、隣地でのライフライン設備設置や使用に関するルールも整備されている。
第2版では、共有者に所在等不明者がいる場合の工事等の事例を図示。同じ事例を、私道全体を複数で所有し民法の共有規定が適用される「共同所有型私道」と、私道が複数筆から構成されそれぞれの所有者が相互に利用する「相互持合型私道」(民法の共有関係にあたらない)に分け、それぞれ対処法を解説した。
また、水道・電気・ガスなどライフラインの設備設置権と使用権の創設も解説し、設備設置権が成立する場合は隣地所有者の承諾書が無くとも民法上は設備設置が可能であること、隣地所有者から不当な承諾料を求められても応じる義務はないことを明記した。ライフラインの引き込みで不当な承諾料を求められるケースへの対処は、不動産業界から求める声があった。
2022.06.17