
土地所有権の放棄、負担金は原則20万円
―相続土地国庫帰属制度の詳細設計進む
政府は、相続等で取得した土地を手放し、国庫に帰属させる場合の費用(負担金)について、原則20万円とする方向で検討を進めている。負担金は10年分の土地管理費相当額という考え方で、草刈りや看板設置などが必要な一部の市街地の土地などについては、面積に応じた負担金額とする方針だ(表)。
21年4月に成立し公布された「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」により、相続または遺贈により取得した土地を手放し、国庫に帰属させることができる制度(相続土地国庫帰属制度)が創設された。法務大臣が土地を審査し、承認されたうえで申請者が負担金を納付すれば、国庫への帰属が完了する。どんな土地にも所有権の放棄を認めると、管理コストの国への転嫁や管理不全を放置するモラルハザードが発生しかねない。そのため、制度を利用できる土地は厳しく制限されている。建物がある土地や、土壌汚染がある土地、危険な崖がある土地など、通常の管理・処分のために費用や労力がかかる土地は利用できない。
申請者が納付する負担金は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した「10年分の土地管理費相当額」で検討されてきた。この制度を利用して国庫に帰属する土地は、巡回のみの管理で足りる土地が多いと想定されることから、同法律を所管する法務省は巡回に必要な実費を踏まえ、「原則20万円」で調整中。
まず、制度が利用された土地を宅地、田・畑、森林、その他(雑種地、原野、池沼、海浜地等)に分類する。宅地、田・畑、その他は、面積にかかわらず原則の20万円。ただし、宅地のうち一部の市街地(都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域)に所在するもの、田・畑のうち一部の市街地・農用地区域等に所在するもの、森林の3つについては、面積に応じて算定した金額にすることを検討している。これらは巡回のみでは管理が難しく、看板設置や草刈りなどが必要と考えられるため。
例えば、宅地のうち一部の市街地に所在するもので100㎡の土地を国庫に帰属させる場合、50㎡超~100㎡以下の算定式「国庫帰属地の面積に2720(円/㎡)を乗じ、27万6000円を加えた額」で計算し、申請者が納める負担金は54万8000円となる。法務省が検討している算定式は、面積が大きくなるにつれて㎡当たりの負担金額は低くなるよう設計されている。負担金のほか、申請時には審査手数料も必要。法務省は今後、負担金の内容を政令で定める準備を進める。
2022.04.22