区分所有法の改正、主要論点は管理に

─法務省ら研究会、マンションの日常重視

 区分所有法の次期改正は、区分所有建物の管理をいかに円滑化するかが最大のポイントとなりそうだ。これまで建替え決議5分の4要件の緩和が論点の第一とされてきたが、直近の論点整理では、筆頭項目が管理の円滑化になり、建替え関連は次点に。マンションの日頃の管理を重視する姿勢が表れた。

 同法所管の法務省や、国土交通省など関連省庁および有識者らが参加する区分所有法制研究会の議論について、法務省がまとめた最新の論点の第一は「区分所有建物の管理の円滑化」。具体的には、▽所在等不明・賛否不明の区分所有者を決議の分母から除外する仕組みや集会出席者の多数決による決議を可能とする仕組み▽所在等不明や管理不全状態にある区分所有建物の管理に特化した財産管理制度▽共用部分の変更決議の多数決割合(4分の3)の引き下げ▽管理者が新旧の区分所有者全員を代理して損害賠償請求権等を行使できる仕組み─の4項目を検討中。

共用部分に瑕疵があった場合、管理者は区分所有者全員を代理して、損害賠償請求権を行使することができる。一方で、一部の区分所有権が転売された場合に、管理者に全員代理を認めなかった地裁判決がある(東京地裁16年7月29日)。研究会は各区分所有者の損害賠償請求権等の行使の在り方を整理し、区分所有権が譲渡された場合でも対応できる方策を探る。

研究会は3月28日に第12回を開催し、建替え決議要件の在り方を議論した。多数決割合を単純に引き下げる案は賛否が分かれた。客観的事由がある場合に4分の3や3分の2以上の賛成に引き下げるという案には反対意見がなく、今後客観的事由の中身を整理する。研究会は22年度中の議論のとりまとめを目指す。

2022.04.22