カーボンニュートラルに国土管理の視点

―国交省、再エネ施設工事の安全性話題に

 国土交通省は、2050年を見据えた国土のあり方を示す新たな国土形成計画(第3次計画)の策定に向けて、盛り込む内容の議論を続けている。このほど開かれた第6回国土審議会計画部会では、カーボンニュートラル(CN)と交通インフラを取り上げた。

 国交省はCNが達成された2050年の国土像として、「再生可能エネルギーが適地に立地・設置されている」「建築物、まち・地域が徹底した省エネ型となっている」などを挙げた。交通インフラについては、将来も交通ネットワーク機能を最大限に享受できるようにするための主要課題を、地域間・国際間・老朽化の分野に分けて提示。地域間は諸外国に比べ速達性が低いことと将来の交通事業維持のための担い手減少、国際間は発着数で欧米やアジア先進国に後れをとっていること、老朽化はメンテナンスに携わる人的資源不足などを示した。

 委員からは、「国土形成計画でCNを扱うなら、国土管理という観点が重要。日本は平地が少なく、太陽光・風力発電施設の整備で山を使う。現地を調査するとずさんな工事が多々ある。土砂災害の防止がきちんとできているのか、厳正にやらないといけない。国土管理の観点からこの問題に対し制度的体系を充実する必要がある」との意見が出た。

 また、デジタル化が政策の大きな柱となっていることから「デジタル化を進めれば進めるほど電力を使う。一番電力を使うのはデータセンターだ。寒冷地にあるのが常識だが日本はほとんど東京周辺にある。寒冷地に早めに移動させ環境対策を進めれば、使う電力を賄える。CNがデジタル化のブレーキとならないよう、政策を連携しておくべきだ」との指摘もあった。

2022.03.18