国交省、建物の未消化容積率を可視化へ

―東大CREI協力、都市の開発余地把握

 国土交通省は、建物の未消化容積率の可視化に乗り出す。東京大学連携研究機構不動産イノベーション研究センター(CREI)が協力する。国交省都市局が開発した3D都市モデル「プラトー」に、高さ規制や斜線規制、指定容積率、建蔽率などのデータをインプット。敷地単位で、最大限土地を利用した場合の建物の高さやその形を三次元的に視覚化する。

 3日に開催されたCREI主催のオンラインイベント「PropTechサポーター会議・オープンミーティング」で発表された。可視化の対象は東京23区。都市のなかで容積率未消化の開発余地がどこにあるのか、民間デベロッパーなどが把握しやすい環境をデジタル技術で整備し、マンションの建て替えなどの活性化につなげる。22年12月に開発完了予定。

 同イベントは、不動産のポテンシャルを最大化するデジタルな仕組み、空き地・空き家活用システム、不動産業界の人材育成のあり方の3つをテーマに取り上げた。冒頭のデジタルな仕組みで「官民情報のDX」が取り上げられ、容積率可視化の取り組みが発表された。このほか不動産業でのデータ活用では、都市部でなかなか進まない地籍調査の重要性が指摘された。

 空き地・空き家活用の視点では、パネリストのビットリアルティ副社長の谷山智彦氏が「そもそも活用できるものが少ないのではないか。市場が存在しないため、誰かが価格発見機能を提供しなければならない」と指摘した。人材育成の話題では、デジタル技術に精通した不動産業の若手育成のため、地域不動産企業とテック企業などを、CREIが仲立ちをして交流を促進する取り組みも発表された。

2022.02.11