海外から熱視線を浴びている日本の不動産投資市場

 コロナ禍のおよそ2年間で一斉にカネ余りが生じ、その結果世界の不動産投資市場がバブル化した。行きすぎたバブルの処理に追われる米欧は長期金利引き上げに向けて動き出した。一方の日本は日銀の金融緩和の継続により歴史的低金利の状態が続いている。不動産投資家の目線は、日銀の黒田総裁退任後の政策金利がどうなるかだ。とりわけ海外の投資家が気にしているのはその点だ。

 東京の不動産の表面利回りは賃貸住宅で3〜4%台、そこからさらに下回りそうな勢いだ。日本国内の買い手は限られ、イールドギャップに着目した投資が主流となっている。一方で為替は記録的な円安であり海外から見れば投資のチャンスは引き続き強いとみていい。ただし日本は少子化であることに加え経済のファンダメンタルズが強くはなく、この先インカムで稼げるかどうかは未知数だ。加えて各国が一斉に金利を引き上げている状況にある。アベノミクスを主導した安倍晋三元首相も今は亡く、日本の政策金利の先行きは見通しにいくい。

 米国のファンドの動向に詳しいある日本のアナリストによると、ここ2、3ヶ月の特徴的な動きとして、日本のアセットに継続的に投資をしてきた米ファンドの一部に投資の手控え感が現れ始めたという。同氏によればこのコロナ禍の2年で全くみられなかった動きであり、今後について注目しているという。

 一方でアジアの投資家には積極的なスタンスも聞かれる。香港や中国、台湾、シンガポールなどの投資家の日本に対する視線は熱い。法人レベルでは香港・ガウキャピタルが積極投資を開始し話題になっており、個人富裕層も日本への投資意向はコロナ前と変わらず旺盛だ。旅行に行きたい国としてアジアでは常に上位の日本である。訪日外客数が増えるとインバウンドの投資も増えるというのがこれまでの図式だ。日本の不動産会社が香港で企画し秋に実施する予定の「日本不動産投資ツアー」は参加料150万円ながら既に満員だという。ポスト・コロナの投資拡大に期待する声は引き続き強い。

 日本の金融機関がこの状況をチャンスと見るかどうかだ。例えば日本のある信託銀行が東南アジアのプライベートバンクと提携し、日本の富裕層向けにローンを提供する体制を整えたが、同様に日本の金融機関が海外の投資家向けに日本の金利でローン付けできる仕組みがあればどうか。加えてそのローンに保証を付けるなどリスクを細分化するような仕組みが取り入れられるような仕掛けがあれば、日本の不動産は現下の高値停滞を打ち破ることになるのではないか。

 金利動向の先行きをどう占うかで投資家の行動は二分している。いずれにせよ、ポスト・コロナの金利水準が世界的に落ち着けば、不動産をはじめとするオルタナティブアセットには総じて好影響となるだろう。

2022.09.02