
東京都心ビル総合収益率、5期ぶり上昇
―不動研調査、期待利回りも低下傾向に
日本不動産研究所は、オフィスビルのインカム収益率とキャピタル収益率を合わせた「総合収益率」をまとめた。半年に一度公表しており、21年6月末時点で東京都心5区に立地するオフィスビルの総合収益率は3.06%だった。20年12月時点の1.72%から上昇に転換した。上昇したのは18年12月以来、5期ぶり。
都心5区の総合収益率は19年12月時点では9.71%と高水準だったが、新型コロナの影響で20年6月期は5.03%に下がり、2期連続で大きく低下していた。内訳をみると、21年6月時点のインカム収益率は4.58%と4%中盤を維持。キャピタル収益率はマイナス1.52%だが、20年12月時点のマイナス2.84%からは改善した。大阪市の総合収益率は4.12%で、20年12月時点の1.21%から上昇した。インカム収益率は6.19%(20年12月は5.85%)、キャピタル収益率はマイナス2.08%(マイナス4.65%)だった。
一方、機関投資家などに投資用不動産の期待利回りを聞いた「不動産投資家調査」(21年10月時点)によると、Aクラスのオフィスビルの期待利回りは「丸の内、大手町」で3.4%(21年4月は3.5%)と0.1㌽低下した。同地区で利回りが変わるのは4年ぶり。同研究所は「コロナ下で緩和的な金融環境の下、優良物件への選好度の高まりが要因とみられる」としている。
そのほかの地区の期待利回りは日本橋が3.6%(3.7%)、虎ノ門が3.7%(横ばい)、西新宿が3.9%(4.0%)、渋谷が3.7%(3.8%)だった。東京以外では、仙台市が5.3%、横浜市が4.6%、名古屋市が4.6%、広島市が5.5%で、いずれも0.2㌽低下した。
2021.12.10