国交省、省エネ基準適合に向け論点整理

―特例で既存建築物の省エネ改修促進も

 25年度に新築住宅・建築物に対して省エネ基準の適合を義務付ける政府方針への対応のため、国土交通省は建築物省エネ法と建築基準法の改正に向けた議論を進めている。適合義務の対象が広がることで、適合のチェックを行う人員も必要になる。このほど行われた社会資本整備審議会建築分科会の建築環境部会・建築基準制度部会合同会議では、こうした課題への対応も含めた論点整理が行われた。

 現行の建築物省エネ法で適合が義務付けられている大規模非住宅、中規模非住宅は1.4万棟ある。登録省エネ判定機関に所属する省エネ適合性判定員1400人のうち、約840人が中大規模非住宅1.4万棟の省エネ適判に従事する。一方で、適合対象外の小規模非住宅と住宅は約44.5万棟あり、適判体制確保のため、設計住宅性能評価を現在行っている登録評価員約6000人を活用する案が同会議では挙がった。同時に、申請側・審査側の負担軽減策も取り入れる。

 既存ストックの省エネ対応も論点。脱炭素社会を目指すため、国は既存ストックに外壁や屋根の断熱化などの省エネ改修を進める方針だが、形態規制(高さ・建蔽率・容積率)の上限に近い状態で建築されている建物の場合、省エネ改修によって形態規制に抵触するものが出る可能性がある。そこで、省エネ改修の場合は形態規制の上限を超えることを特例で許可する制度の導入を検討する。また、延床面積に対して機械室が著しく大きい建築物に対し、容積率制限の緩和を特例で許可する制度について、高効率給湯設備等がある機械室等の場合は、許可の条件だった建築審査会の同意を不要とする手続きの円滑化も検討する。

2021.11.12