建替え5分の4要件、条件付きで緩和か
―有識者研究会、要除却など合理性で判断
有識者や法務省、国土交通省などが参画する区分所有法制研究会(座長=佐久間毅・同志社大学大学院司法研究科教授)は、このほど行われた第6回会合で、区分所有法の建替え決議要件(5分の4以上賛成)の緩和の是非を議論した。方向としては緩和の意見が多かったが、5分の4から割合を単純に引き下げることに対しては慎重意見が多数を占めた。
研究会では現行の5分の4からの単純な引き下げのみを主張する声はなく、より建替えがしやすくなる合理性がある場合に「4分の3」や「3分の2」などがあっても良いとする意見が目立った。合理性の具体的な内容には、マンション建替え円滑化法のスキームに乗ったもの、例として同法の改正で対象が広がる(12月20日施行)要除却マンションが挙がった。
研究会は区分所有法と被災マンション法について、改正議論の土台となる論点整理を進めている。第2~4回の会合で、建替えに詳しいデベロッパーや業界団体、地方自治体など関係者15組からヒアリングを実施。寄せられた意見をもとに、第6回から研究会メンバーのみによる本格議論をスタートさせた。
本格議論の実質初回となった第6回は、5分の4要件の緩和を中心に3時間に及ぶ議論となった。当初は、他の法律にはあるが区分所有法にはない区分所有関係を解消する仕組み(敷地売却制度や取壊し制度など)の導入も議論する予定だったが、次回持ち越しとなった。関係者ヒアリングで、老朽化マンションの更なる増加の課題に対応するため、区分所有法へのこれらの導入を求める意見が寄せられていた。研究会は今後月1回のペースで開催予定で、第7回は11月2日。
2021.10.29