Jリートの上期分配金、成長率0.9%

―三井住友T研調べ、4期連続で成長鈍化

 三井住友トラスト基礎研究所がJリート全銘柄の公表データを分析した21年上期(1~6月)の「Jリートレビュー」によると、対象銘柄の中央値でみた分配金の成長率は4期連続で鈍化した。前年同期比0.9%のプラスとなったが、20年下期(+1.7%)を下回った。前期(20年下期)と同様に6割の銘柄がプラス成長だったが、過半の銘柄で成長率が縮小した。

 ホテル銘柄のマイナス成長がさらに悪化し、稼働率の低下を背景にオフィスや住宅銘柄の成長率も鈍化した。1口当たりNAVの成長率は前年同期比1.5%のプラスで、前期(+2.5%)を下回った。成長率マイナスはホテル投資の銘柄などに限られたが、成長率プラスの銘柄も成長が鈍化。物流銘柄は成長率が加速し10%超の銘柄も増えたが、物流銘柄以外は鑑定評価額の上昇やプレミアム増資効果が弱まった。不動産売却益は合計177億円で、前期から約3割減となった。全銘柄の当期利益総額に占める割合は2.8㌽減の6.1%。

 ポートフォリオのNOI利回りは平均4.8%で、前年同期(4.9%)から低下。ホテルセクターはコロナ禍で賃料収入の減少が影響し、3.8%(前年同期は5.9%)と大幅に低下した。オフィスは稼働率の低下を賃料単価の上昇やコスト減少が補い4.7%を維持。住宅は稼働率の低下により0.1㌽減の5.4%となった。上期発表の物件取得額は約5300億円で、このうち物流施設が39%、オフィスが26%を占めた。平均取得NOI利回りは前期と同じ4.4%。物件譲渡額は約1900億円で、このうちオフィスが46%、商業施設が21%となった。

2021.10.08