不動産を核に地域価値創造、実地調査へ

─国交省、課題の解決を制度面で後押し

 国土交通省は4日、「『ひと』と『くらし』の未来研究会シーズン2」の第1回を開催した。不動産業者が他業種と連携しながら地域の新たな価値創造に取り組む方策を検討する研究会の第2期。全国各地の好事例の実地調査を行い、横展開を図るため、第2期初回ではフリーディスカッションを通して訪れる場所などの意見交換を行った。

 研究会のコアアドバイザーは、青木純氏(まめくらし代表取締役)、川人ゆかり氏(合同会社ミラマール代表社員)、古田秘馬氏(プロジェクトデザイナー)、渡邊享子氏(巻組代表取締役)の4名。フリーディスカッションで実地調査の行き先案として、空き家に新たな付加価値を加えた再生に取り組む石巻、行政と連携しつつ面白いと思った人にだけ空き家を紹介する尾道の取り組み、市の職員が自ら不動産オーナーになって地域おこしを行っている沼津、過疎地ではなくまちなかで空き家が増えたがアーティストの誘致に成功した北加賀屋(大阪市住之江区)などが挙がった。

 このほか、「どういう点がボトルネックだったのか、成功事例の陰にある失敗事例を学びたい」(川人氏)、「(規制を)緩くすると可能性が一気に上がる場所がある。建築基準法上の用途地域を時代の変化に合わせたものに変えていけないか。コロナでそれぞれのエリアの個性が大きく変革するポイントに来ている」(青木氏)などの意見が出た。

 第2期キックオフに際して、長橋和久・不動産・建設経済局長は「行政が主催している以上、関係者と合意形成をとりながら、課題解決について制度的な面から後押しできるようにしたい」と語った。

2021.10.08