政策の総動員で経済の着実な回復が必要
―業界トップ、長期的な視点で事業推進
今回の都道府県地価調査の結果を受け、不動産業界の主要団体・企業のトップはコメントを発表した。前年の下落から地価には持ち直しの動きも見られたが、コロナ禍で傷んだ日本経済の本格回復に向けた政策の総動員を求める声が寄せられた。企業トップからはコロナ収束後の事業展望への言及もあった。
菰田正信・不動産協会理事長 我が国経済が、一部で持ち直しの動きが見受けられるものの、コロナ禍の影響により依然として非常に厳しい状況にあるとともに、先行きについても不透明なことなどが、地価に反映されたものと認識している。引き続き、あらゆる施策を総動員し、感染症に伴う経済や企業活動の落ち込みを反転させ、着実に回復させていく必要がある。
秋山始・全日本不動産協会理事長 都市部を中心に住宅地の先行きに光が兆したものの、商業地はいまだコロナ禍の影響を脱し切れていないことが浮彫りになっている。本調査が本年7月1日時点を基準としているところ、その後に国内のほぼ全域においてこれまでで最も深刻なコロナ第5波のあおりを受けたことからすれば、一部の地価回復傾向についても安穏として捉えることはできない。
吉田淳一・三菱地所社長 店舗・ホテル需要等で上昇していた地域では回復の遅れがみられる一方、都市中心部におけるオフィスの安定的な需要を受け、三大都市圏の商業地は9年連続の上昇となっている。今後も引き続きコロナ禍を契機に加速した人々のワークスタイルやライフスタイルの変化に寄り添いながら、コロナ収束後を見据えて事業を着実に進めていく。
仁島浩順・住友不動産社長 商業地の地価は概ね横ばい圏で推移、人流や移動の制限によりホテルや飲食店舗などの需要が引き続き低迷したものの、業績堅調な企業の新規需要もあり、オフィスビルの市況悪化は小幅にとどまっている。一方、住宅地は低金利などを支えに、都心や郊外駅前など利便性に優れた地域を中心に需要が堅調で、上昇に転じた地点が増加した。
2021.10.01