APACの物流不動産投資、25年に倍増

―JLLが予測、中韓豪の投資拡大顕著に

 ジョーンズラングラサール(JLL)は、アジア太平洋地域(APAC)における物流不動産の投資規模が25年までに現行比で倍増すると予測する報告書を公表した。Eコマースの活況などを背景として、投資額は19、20両年の250億~300億ドルが23~25年には500億~600億ドルに膨らむと展望。最新鋭の物流施設が多く出回り、ファンドの資金調達が活発な中国と韓国、オーストラリア(豪州)で特に投資額が増えると予想している。

 APAC圏で物流施設の投資利回りが下がっているにも関わらず、大型取引の件数は増え続けているとJLLは指摘。1月以降、中国と韓国、豪州でファンドの資金調達額が過去5年の実績に対し最大で7倍の伸びを示したことを説明し、3カ国を特に有望視している。取引の事例として4月にESRとシンガポール政府投資公社が米ブラックストーンから豪州の物流施設群を29億ドルで取得した事案などを記載した。3カ国では投資額が増えるにつれ、利回りは0.5~1%程度下がる可能性があるとも指摘している。

 APAC全体の傾向として、コア型とコアプラス型の戦略で資金を調達するファンドが増えるなか、固定費の負担を減らしたいテナントも多く、セール・アンド・リースバックがさらに拡大すると展望している。

 APACの機関投資家はポートフォリオの6割以上をオフィスや商業施設などで編成しており、逆に言えば物流不動産に資金を割り当てる余地が大きいという。APACの投資家が物流不動産の年間投資枠を4~7%程度広げた場合、向こう2~3年に2000億ドルが物流投資に上乗せされる計算になるとしている。

2021.09.17