在宅勤務の割合、東京と地方で差が顕著

―森記念財団調査、都心ほど大きい傾向

 森記念財団都市戦略研究所は、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅勤務の状況を調べるためアンケート調査を実施した。東京都心部ではコロナ禍で在宅勤務に移行した人の割合が大きく、東京以外の都市では割合が比較的小さかった。

 調査は今年3月時点。アンケートでは対象都市の300人に「就業・就学先に出向いている」「自宅で働いている/学んでいる」「就業・就学先、自宅ともに同程度の割合」の中から選んでもらった。東京・港区では「就業・就学先に出向いている」の比率は感染症流行前は78.8%、流行後は44.2%と大幅に減った。同渋谷区では81.5%から51.9%、同世田谷区では81.3%から55.3%で同様に大きく減少している。一方、横浜市では85.7%から62.9%、大阪市では83.5%から70.2%で東京都心区と比べると減少幅は小さくなった。青森県八戸市では87.1%から84.8%とほぼ変わっていないことも分かった。

 業種別では「情報通信業」や「学術研究、専門・技術サービス業」で在宅勤務が進んでおり、「農業、林業」「漁業」では大きな変化はなかった。  同研究所はコロナ禍での人口流動についても考察。東京23区から郊外への移住は少しずつ増えているが、「都心から30km止まりで、1時間通勤圏におおむね収まっている」と分析した。都心でも人口が増加している区があり、「郊外の復権とともに、依然として都心回帰の動きは止まらない」とした。また「コロナで東京から人口が大移動という話は、東京都の人口増は頭打ちになったというだけで、東京圏で考えるとあたらない」と記した。

2021.09.02