来年度予算・税制改正要望

国交省、18%増の6兆9349億円要求

―住宅の脱炭素化、所有者不明土地で新税

 国土交通省は26日、22年度予算概算要求を公表した。一般会計で前年度比18%増の6兆9349億円を要求。このうち、グリーン、デジタル、地方活性化など成長戦略実現のための特別枠「新たな成長推進枠」には1兆5989億円を充てた。盛り土の災害防止に向けた総点検や、消費税の引き上げ等に伴う住宅取得にかかる給付措置の取り扱いなどは、現時点では金額を定めず、予算編成過程で検討する「事項要求」とした。

 政府が掲げる2050年カーボンニュートラル関連は、今後の成長に向けた今回の概算要求の目玉。国交省は7月に省内の脱炭素に関する重点プロジェクト「国土交通グリーンチャレンジ」をまとめており、予算要求にもその内容が反映された。まず、「ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化」として、1384億円(前年度比36%増)を要求。LCCM住宅、ZEH、ZEB、長期優良住宅等の整備への支援等の強化のほか、既存ストックの省エネ改修支援等の強化、地域の中小工務店等の連携体制による省エネ性能に優れた木造住宅の整備への支援強化などが含まれている。

 「グリーンインフラ等のインフラ・まちづくり分野におけるグリーン化の推進」も脱炭素もののひとつ。204億円(94%増)を要求し、エリア一体となったまちづくりのグリーン化、グリーンインフラの社会実装、環境に配慮した民間都市開発等の取り組み支援などを進める。

 所有者不明土地特措法の改正に向けた見直しが進められているため、所有者不明土地関連予算も今年のトピック。「空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用の促進」に76億円(11%増)を要求した。住宅市場を活用した空き家対策に関する新たなビジネスの構築支援や、所有者不明土地の円滑な利活用・管理を図る仕組み、感染症の拡大に伴う遠隔地居住者の「移動控え」などに対応した空き家・空き地の管理委託の推進などが盛り込まれている。

 ポストコロナを見据えたまちづくりも重視する分野。「コンパクトで歩いて暮らせるゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進」に1663億円(112%増)を要求した。ポストコロナに対応した、まちの資源を最大限利活用した官民連携のエリア価値向上の支援を行う。災害ハザードエリアからの移転や居住エリアの安全性強化も含まれる。

2021.09.02