要除却マンション、認定マニュアル作成

─国交省、建替え専門家育成の講習も開始

 改正マンション建替え円滑化法により、新たに敷地売却制度や容積率緩和特例制度の対象に加わった「要除却マンション」について、国土交通省は27日、パブリックコメントの内容を反映した要除却認定基準案をまとめた。建物の調査・診断方法や、管理組合が行う申請手続などを分かりやすく解説した「要除却認定実務マニュアル」も作成する。認定を希望するマンションに関わる建築士や審査する地方自治体をマニュアルでサポートし、要除却認定が円滑に進むようにする。

 従来は、耐震性がないマンションが対象だった敷地売却・容積率緩和の両制度を、耐震性があっても老朽化が著しい要除却マンションにも拡大した。認定の調査資格者は建築士。認定基準案は、要除却マンションの分類と適用できる制度を整理した。

 敷地売却は①火災安全性(建築基準法の防火・避難規定に不適合で、簡易な修繕で適合させることが困難なもの)②外壁等剥落(鉄筋に沿った浮き・ひび割れ等が一定程度以上発生し、剥落の危険性が高いもの)─を対象とする。容積率緩和は、①と②に加えて、③配管設備腐食等(スラブ下配管方式の排水管で、2箇所以上で漏水が生じているもの)④バリアフリー(建物出入口から多数の者が利用する居室(集会室等)又は各住戸等に至る―の経路が、移動等円滑化経路に適用される全ての基準に適合することを基準とし、これに該当していないもの)―も対象になる。

 要除却認定基準は12月をめどに施行。マンション建替えの専門知識がある技術者を育成するため、主に建築士を対象にした要除却認定の講習を、施行に近いタイミングで始める。マニュアルは、内容を充実させたい意向で、最終的な公表は施行後になるとみられる。

2021.09.02