まちづくりとヘルスケアでFTK拡大へ

─国交省検討会、好事例ハンドブック作成

 国土交通省の「不動産特定共同事業(FTK)の多様な活用手法検討会」は、このほど第6回会合を開き、中間とりまとめ案を公表した。まちづくりとヘルスケアの2分野でのFTKの更なる活用に向けて議論してきた同検討会。好事例の普及が必要とし、スキームの説明や成功ポイントをまとめたハンドブックを作成。中間とりまとめ案とともに公表した。

 中間とりまとめ案では、まちづくり分野のFTKの有用性について、「市民ファンドやクラウドファンディング等を活用し、投資家が利用者となるような地元完結の枠組みを作りやすい仕組み」と整理。金銭リターンだけでなく施設利用権の付与など、投資家が事業に共感する仕組み構築も可能で、地域に密接したまちづくりの課題対処でFTKが有効となることをまとめた。また、FTKでは、個人地主が提供できない好立地不動産の機動的取得・建物の更新投資が可能になる。その特徴を生かして、ヘルスケア分野では、地域住民が投資することでヘルスケア施設の充実に主体的に取り組むことができる。

 それぞれの分野での拡大の可能性を整理したうえで重要となるのが同時に発表した「FTKの利活用促進ハンドブック」。幅広い関係者を巻き込んで周知を図るために活用していく。ハンドブックでは、開発・改修・その他の事業種別に7件のFTK好事例を紹介する。それぞれ資金調達難の解消や関係人口の増加、行政費用抑制などの面で効果を示している。これらの事例をもとに「投資家からの共感を生み、共感する投資家から投資を引き出す仕組みの構築」など、FTKを成功に導くための商品組成上の工夫点を整理した。

2021.07.09