
2021年地価公示・経済の着実な回復を、消費者動向に注意
―業界トップ、先行き不透明も一部に改善
コロナ禍の影響で下落に転じた地価公示の結果を受け、業界各トップは経済活動の着実な回復を訴える。感染収束が見えず先行きが依然として不透明ななか、アフターコロナを見据えた変化への対応を強調。各トップのコメントを掲載する。
菰田正信・不動産協会理事長 足元の我が国経済は、依然として非常に厳しい状態にある。感染防止策を徹底しながら、経済活動を着実に回復させていくことが重要だ。コロナの早期収束に加え、アフターコロナも見据え、次の成長の原動力である脱炭素やD X、国土強靱化等に資する設備投資や内需の柱である住宅投資の促進等、持続的で力強い成長を実現する環境を整備し、必要な施策を講じていくことが求められる。
山代裕彦・不動産流通経営協会理事長 既存住宅の流通市場においては、東日本不動産流通機構の統計によれば、首都圏の成約件数は、昨年前半は新型コロナ感染症対策の影響により前年比で激減したが、後半は持ち直し、本年に入っても件数・価格ともに前年を上回る状況となっている。住宅流通の営業現場でも、昨春に大きく落ち込んだ取引が6月以降は回復し、足元では堅調さを取り戻している。しかしながら、感染の収束はいまだ見通せず、今後も、経済・消費者動向の変化に十分な注意が必要である。
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に弱含みの結果であったが、地価動向の変化の程度は用途や地域によって異なり、一部の交通利便性等に優れた住宅地などは上昇を継続していることから、アフターコロナを見据えた今後のコロナ対策の強化を期待するとともに、あわせて22年度も引き続き固定資産税の負担軽減を要望したい。
原嶋和利・全日本不動産協会理事長 昨年の路線価及び都道府県地価調査に続き、コロナ禍の停滞状況がいまだ解消されていないことが示されている。半年ごとの地価変動率の推移をみると、昨年7月以降、大阪圏の商業地を除いて各地で下げ止まり、または僅かながらも上昇を示しており、地域によっては取引量の回復による地価の改善傾向が見て取れる。しかし、これらの数値は需要が堅調な優良地点によって牽引されていることも含んで考えると、昨年後半期の傾向のみをもって景気の持ち直しと見るにはいまだ尚早であろう。
吉田淳一・三菱地所社長 依然として先行き不透明な状況が続くが、新型コロナウイルス感染症との共存を踏まえながら、経済活動を着実に回復させていく必要がある。新型コロナがもたらした本質的な変化を見極め、ポスト・コロナ時代のワークスタイルやライフスタイルに向けたまちづくりを推進していく。
仁島浩順・住友不動産社長 商業地は国内外の来訪客が大幅に減少し、店舗やホテルなどの需要減退により三大都市圏を中心に大きく下落した。一方、住宅地は在宅勤務などを機に住宅への関心が高まり、希少性の高い都心部や交通利便性に優れた近郊などで需要が堅調に推移し、全体では小幅の下落にとどまった。
岡田正志・東急不動産社長 東京・銀座や大阪・心斎橋などの地価下落はインバウンド需要で地価が過熱気味だった場所がコロナ禍による需要喪失で修正されている一時的な現象と捉えており、「アフターコロナ」の段階でインバウンドは復活し、これらの地域の地価は回復するとみている。 野村均・東京建物社長 リモートワークの活用が進んでいるが、従業員が集い、リアルなコミュニケーションを通じたイノベーションの創出や生産性向上の場となるオフィスの有益性は変わらず、今後はコアとなるオフィスを中心にシェアオフィスや自宅等を併用するスタイルが進むものと思われる。
宮嶋誠一・野村不動産社長 住宅市場に関しては都心・駅前立地への評価は依然として高く、供給量の少なさもあり価格が維持されているなかで、広さ・間数・環境等を求めてより外側のエリアへの動きも見られ、近郊エリアでも交通利便性・生活利便性に優れる物件、郊外の戸建ても非常に好調である。
伊達美和子・森トラスト社長 新型コロナは私たちの働き方を大きく変えた。しかし一方で、職場で直接会い、相手の熱量や言葉のニュアンスを感じながら決断すること、チームでの共感や連帯感を醸成することの重要性を再認識する契機となった。今後のワークプレイスには、ワーカーの目的地となるような環境を整備していくことが求められる。
2020.03.26