カーボンニュートラル、住宅は成長分野

―グリーン成長戦略、産業別の工程表策定

 政府は25日、脱炭素社会実現に向けた「グリーン成長戦略」を公表した。2050年に温室効果ガスの排出量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指すため、14の重要産業分野に工程表が設定された。政府はグリーン成長戦略により、30年に年90兆円、50年に年190兆円の経済効果を見込む。住宅・建築物産業は、水素産業や自動車・蓄電池産業、運輸関連産業と並んで成長分野に位置付けられた。

 住宅分野では、30年までに、新築の住宅・建築物を全体でみてZEH・ZEBの水準とすることを目標にする。40年までには、次世代太陽電池を搭載したZEH・ZEBの実用化が目標。さらに50年まで(今世紀後半の早期)の目標として、住宅・建築物のストックを全体でみてZEH・ZEBの省エネ性能とする。省エネ性能の高いZEH・ZEBの普及を推し進めることで、既存物件など省エネ性能の低いものを牽引して住宅・建築物全体の省エネレベルを引き上げる考え。

 カーボンニュートラル化に向けた今後の取り組みとしては、住宅や建築物のエネルギー消費性能に関する基準や、長期優良住宅の認定基準、住宅性能表示制度の見直しを進める。創エネポテンシャルの最大化にも取り組む。既存の太陽電池では技術的に設置が困難な屋根の耐荷重が小さい既存住宅・建築物にも対応でき、壁面や窓などにも設置可能な次世代型太陽電池の開発・導入を促す制度整備を行う。

 同戦略は、菅義偉政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策。建て替えや新たな設備の導入が可能な住宅分野には大きな経済効果が期待されている。

2020.01.15