オリックス銀行が家族信託型リバースモーゲージ

認知症リスクに対応、親族が代行し管理が可能に

 オリックス銀行は契約者の認知症リスクに対応した家族信託型機能を持つリバースモーゲージ「家族信託付不動産活用ローン」の取り扱いを始めた。契約者が認知症になっても、委託者である家族が物件の管理や売却を代行でき、家族が裁判所を通して成年後見人となり、物件の管理等を行う手間やコストを省く。オリックス銀行はすでに展開している相続、資産承継、財産管理を手掛ける「家族信託サポートサービス」とリバースモーゲージを組み合わせることで商品化を実現した。現状、認知症リスクまで考慮したリバースモーゲージを扱う金融機関はオリックス銀行のみ。オリックス銀行は今後、超高齢化社会が進むことで老後資金のニーズが高まる一方、認知症のリスクに対応した商品展開も必要と見ており、他行と差別化させたサービスで顧客を囲い込む。

 新商品の借入上限金額は、担保とする不動産評価額の50%以内とし、1000万円以上1億円以内。不動産評価額は不定期で見直す。対象者は55歳以上とし、原則、推定相続人を家族信託の受託者として、担保提供不動産を信託譲渡できることが条件。借入金の使途は、老人ホームなどの入居一時金、自宅の住み替え資金、バリアフリーを目的としたリフォーム等資金。他にはオリックス銀行と相談し認められた使途に限定する。適用金利は変動金利型で、オリックス銀行が定める短期プライムレートを基準とし、毎月金利の見直しを行う。現時点の金利は2.57%。

担保とする不動産は、契約者名義の不動産で、居住以外の土地建物も対象とする。不動産に規模の制限は設けておらず、オリックス銀行の担当者が立地条件や築年数などを考慮して担保対象にできるかを判断する。担保不動産の対象エリアは首都圏のほか、近畿圏、名古屋市、福岡市。概ね、東京・大阪の中心部まで、公共交通機関を利用して東京で約1.5時間、大阪で1時間以内の立地を対象とする。

国内では超高齢化が進み高齢者が増加していることで、老後資金の融資ニーズが高まっており、リバースモーゲージの利用実績は増加傾向にある。住宅金融支援機構が公表した同機構の住宅融資保険を活用したリバースモーゲージ「リ・バース60」の2018年度利用実績金額は、2017年度実績の8.5億円から44.3億円と大幅に増加。取扱金融機関も、2017年度の36機関から52機関へ増加している。

しかし、利用数が増える中、契約者が認知症を発症したことで物件の管理・売却などの手続きが円滑に進まないケースも増加している。認知症のリスクに対応したリバースモーゲージは、2006年に東京スター銀行が他の信託会社と共同で販売を開始した商品のみだったが、現在は取り扱いをやめている。オリックス銀行の担当者は「認知症はあくまで病気のため、リスクとして対応するのは難しい。弊社は、すでに展開している家族信託のサービス内容を、リバースモーゲージ用に変更し組み合わせることで商品化することができた。老後資金のニーズのみならず、認知症による財産管理や資産承継といったサポートも充実した商品となっている」と話す。

2020.05.29