
JLL、物流やレジなど売買仲介を強化
―河西社長が方針、コロナで日本に投資増
ジョーンズラングラサール(JLL)が日本の不動産売買仲介部門を強化している。日本法人の河西利信社長が2日にオンラインで会見し、「コロナ下で日本市場がセーフヘイブン(安全な投資先)になり、海外投資家らによる『有事の日本買い』が加速している」との認識を強調。欧米に比べ新型コロナの打撃が小さい日本の不動産市場にドライ・パウダー(待機資金)が集まりつつあることから、今が仲介事業の書き入れ時とみて、物流施設やデータセンター、オフィス、住宅などの売買支援にテコ入れする方針だ。
河西社長の説明によると、1~9月におけるJLL全社の業績は営業利益に減価償却費を加えて算出するEBITDAが欧米で縮小した一方、アジア太平洋は中国や韓国などの復調が寄与し前年同期比1%減にとどまった。コロナ下で世界市場の不確実性が高まるなか、日本の特に東京に目を向ける海外の機関投資家が増えている。実際に1~9月期の投資番付で東京は欧米やアジアの有力都市を抜き首位に立った。
会見で同社リサーチ事業部の大東雄人ディレクターは、コロナ下で来日が制限されるなか、日本に拠点を置く海外の投資家らが引き続き日本の不動産を買っていると指摘した。投資元の4割弱が海外の投資家で、東京のレジデンスや都心5区の大規模オフィスなどに資金を振り向ける動きが活発だという。大東氏は日本国内における21年の不動産売買取引額が10%増の4.7兆円になるとの予測を提示。日本の安定性が高く評価される一方、世界的な金融緩和で日本以外の都市に投資資金が分散する傾向もあり、日本では不動産市場の透明性を高めるなどの努力が不可欠だと強調した。
2020.12.11