既存住宅も現状有姿で長期優良認定を

―自民党へ業界団体が制度改善を要望

 自民党の住宅土地・都市政策調査会(石原伸晃会長)は17日、長期優良住宅制度について業界団体からのヒアリングを実施した。安心R住宅制度への意見も併せて聴取。両制度の見直しポイントが明確になった。

 住宅生産団体連合会、全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、不動産協会が意見を述べた。住団連は、長期優良住宅制度について、一定基準を満たす既存住宅であれば、増改築を行わずとも認定される制度にすべきと要望。現行制度では、既存住宅が認定を得るには増改築を行う必要がある。現状有姿のまま優良な既存住宅が高く評価される仕組みをつくることで、良質な住宅ストックの流通量増加を期待する。

 不動協は、マンションの認定を増やすため、維持保全義務の主体を管理組合にすることを要望。現行では維持保全義務が個別(区分所有者)に課される。求められる維持保全計画の中身に共用部分の点検や修繕が含まれ不合理なため、制度の主体を管理組合に変更するよう求める。専有面積要件(55㎡以上)の見直しや、他の制度と多重になっている審査の解消も求めた。

 全宅連と全日は安心R住宅の改善要望をまとめた。全宅連は安心Rの一般消費者へのこれまで以上の周知と、調査の合理化などを要望した。一方で、見直しには賛成するも「『安心』を担保することは絶対条件」と、単に供給数増加を目指す緩和にしないようにと付け加えた。全日は、マークの付与をまず判断する売主側に訴求するメリットの創設と、現状は団体ごとに異なるマーク付与基準を統一することを求めた。

 長期優良住宅制度については、国土交通省が関連法の改正案を21年通常国会に提出する予定。安心Rについても制度改正の準備を進める。

2020.11.27