
長期優良住宅、マンション認定基準緩和
―国交省、既存住宅は増改築なしでも認定
国土交通省は、長期優良住宅制度の認定基準を緩和する。新築・既存住宅の両方向で、認定が取りやすいように改める。新築では分譲マンションと賃貸住宅で特に認定が少ない。制度が建築行為(新築、増改築)を前提としていたことから、既存住宅も認定のハードルが高かった。両方向でテコ入れし、良質な住宅の認定を増やしていく。
長期優良住宅制度は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)に基づき、劣化対策や耐震性など、長寿命化に必要な条件を満たした住宅を認定する制度。認定住宅には、税優遇や住宅ローンの金利優遇などのメリットがある。制度開始(09年6月)からの累計認定実績をみると、新築は戸建て111万404戸、共同住宅2万1880戸。増改築(既存住宅)は戸建て935戸、共同住宅45戸。新築の共同住宅と既存住宅の認定が伸び悩んでいる。
そこで国交省は、各性能で最高等級レベルを求める現行の認定基準に加え、耐震等級と断熱等性能等級の部分を緩和した新基準を設け、認定水準を2段階にして、賃貸住宅など幅広いニーズに対応することを検討する。また、分譲マンションでの認定取得物件では、入居者が決定するたび速やかに(3カ月以内)計画変更の手続きを行わなければならない。一括では手続きができず、事業者の負担になっていたが、この煩雑な手続きも改善する方針。
既存住宅は、増改築を要件から外す。建築行為を伴わない既存住宅を認定する制度を創設し、眠れる優良資産を掘り起こす。国交省は年内に方向性をまとめ、21年通常国会で長期優良住宅法の改正案を提出する。
2020.10.30