
高台まちづくり、年内に具体化スタート
―井上・国交省水局長、デベの役割に期待
国土交通省の井上智夫・水管理・国土保全局長は5日、建設専門紙記者会の会見に応じ、「気候変動の影響は無視できない。今までと同じやり方ではいけないということで、『流域治水』という考え方の実現が当面の大きな課題だと思っている」と抱負を語った。水災害が頻発化・激甚化するなかでの就任となった。
流域治水は、国や地方自治体、企業・住民など流域全体のあらゆる関係者の協働で取り組む治水対策。荒川や江戸川などが氾濫すればほぼ全域が浸水する江東5区に260万人が暮らす東京都とは、「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」を共有して対策を進めていく方針だ。このなかで重視されている対策のひとつが「高台まちづくり構想」。非常に広範囲に深い浸水が想定されるエリアでは、高台やビルとビルをつないだ空間が、水から逃げるために必要になる。
井上局長は、「いま東京の低平地を中心とした区の方と話していて、彼らの拠点的な開発に高台まちづくりの考え方を取り入れてもらうよう、現場レベルで対応している」と話す。年末の段階で、このうちいくつかを高台まちづくりのモデル地域とする議論をスタートさせたい考えだ。
低地の水災害対策では不動産デベロッパーの役割も大きいとの認識。「高台まちづくりに参加して頂くだけでなく、今後の開発で電源などの安全性が高いマンションをつくって頂くことは、ゼロメートル地帯での在宅避難と避難所利用の分散避難に向けて非常に重要。我々としても高く推奨していく」(井上局長)と期待を示した。防災機能の高い再開発物件に対しては、容積率を緩和する措置を9月に導入している。
2020.10.09