和田・住宅局長、既存住宅流通を重視

─低迷の安心R、「普及できる仕組みに」

 国土交通省の和田信貴・住宅局長は28日、専門紙記者会との就任会見に応じた。着工の減少など、コロナ禍は住宅業界にも深刻な影響を与えている。7月の着任以降、常にコロナ対策を意識してきたという。「いざというときにしっかりとテコ入れができるようにしたい」と、支援策の準備を進めていることを語った。

 住宅局では、住生活基本計画の見直し議論が進められている。最も重視するのは「既存住宅の流通をどう活性化するか。安心できる既存住宅が選択肢として、国民の意識に入ってくることが大事だ」と話す。しかし、安心の既存住宅であることを物件広告で示す「安心R住宅制度」は、18年4月の制度開始から累計で全国2690件と振るわない。同制度については「宅建業者の方々が扱いやすい形にしていかないと普及しない。いろいろな方々の声を聞いて、普及できる仕組みを求めていきたい」と改善の意向に言及した。

 来年度予算概算要求では、「住宅のセーフティネット機能の強化」が掲げられた。SN住宅の登録戸数は、約8万戸まで増加している。強化の方向としては、「シェアハウスの使い方や、シングルマザー・一人親世帯などに見合った基準なのかなども含めて、大家・入居者に改善となる方向を目指したい」と語った。

 一方、河野太郎・行政改革相からの要請に応じ、このほど赤羽一嘉・国土交通相は省内各局に、原則全ての行政手続きで判子を不要とする検討を行うよう指示を出した。これについては「住宅局でボリュームがあるのは建築確認申請だ。これは電子申請もあり、判子を使わない申請も可能。ただ、電子申請の件数は伸びていないので、その使い勝手をもう少し良くしないといけない」とコメントした。

2020.10.02