コロナ下で不動産投資市場に再開の機運

―CBRE、物流とオフィスの人気交代

 新型コロナウイルス感染症の影響下で、6月以降に国内の不動産投資市場が再び活発になりつつあることがCBREの意識調査で分かった。3月と6月の2回にわたり投資家らに投資方針を聞いたところ、6月の調査では初回よりも13㌽多い全体の75%が「感染前と変わらない」と回答。保有物件の感染対策では14㌽多い67%が「適切に対応すれば問題ない」と答えた。同社は「アジア太平洋地域の投資資金は潤沢で、投資家の投資意欲は総じて高い」と分析している。

 3月10~31日と6月9~30日の2回に分けて投資家らに聞き取りを行った。6月の調査では「コロナの感染拡大が取引に影響した」との回答が3月時点よりも12㌽増え53%になった。そのうち「取引が延期・中止になった」のは14㌽増の37%だった。4、5月の緊急事態宣言下で延期・中止が頻発した可能性がある。

 6月の調査で投資の魅力が大きいアセットを聞いたところ、首位は物流施設(回答率33%)で、次点は住宅(32%)、オフィス(27%)だった。従来の調査ではオフィスの首位が続いていたが、コロナ下で働き方が変わり、需要の多寡を見極めにくいオフィスが順位を下げた。景気変動の影響を受けやすい中型オフィスが敬遠される傾向が強いという。このほかホテルは3%、商業施設は2%と人気が落ちた。 

 同社が先月中旬に公表した第2四半期(2Q)における国内投資市況の調査結果では、事業用不動産(10億円以上対象)の投資額は前年同期比22%減の7530億円だった。この数字から海外投資家による年初の大型取引を差し引くと、実質的な投資総額は50%以上減った計算になるという。 

2020.09.25