野村正史・国土交通審議官が就任会見

―不動産流通市場と管理市場の発展に期待

 野村正史・国土交通審議官は10日、専門紙記者会との就任会見に臨んだ。国土関係施策、社会資本整備関係施策、北海道開発関係施策の総括整理を担務とする野村氏は「仕事の守備範囲が広がった。初心に立ち返り、高くアンテナを張って積極的に情報収集して、諸課題に真摯に取り組む」と抱負を語った。

 不動産業課長時代(11~13年)に創設した賃貸管理業者登録制度は、前国会で成立した賃貸管理適正化法の基礎となった。当時から既存住宅流通の活性化とストック活用は大きな政策テーマだったと振り返る。「学識者から、今後はライフステージに応じて軽やかに空間を使いこなす必要があるという指摘があった。そのためにも流通活性化は進めなくてはならない」(野村氏)と語る。ただ、多くの不動産を使いこなすということは、誰がその管理を負うのかという話になる。「これからは不動産の所有と利用の分離が進み、管理はプロが介在して新たな市場を形成する可能性がある」(同)として、不動産の流通市場と管理市場の発展性に期待を示した。

一方で、新型コロナウイルスの影響は、まだ見通せない状況にある。国土審議会の「国土の長期展望専門委員会」では、2050年の国土の姿を展望する議論が進められている。5、7月に東京の人口が転出超過となったことから、「地方には密の回避という観点から大都市に比べて多くのアドバンテージがある」(同)と、地方移住が進む可能性に言及。ただ、地方には過疎のデメリットもあり、それを解消し地方が受け皿となるには「一定の集積を図る政策的な努力や、新技術の実装の公的支援が必要だ」(同)と話す。

2020.09.18